🗻静岡の里山でも三密を避けよう!

ようこそ!登山ガイドクマあしの山の世界へ🐻

実に久しぶりのHP内ブログへの投稿となりました。皆様にはすっかり忘れられているかも・・・と思いながらようやく時間がとれるようになりました。

昨年4月はインド・リシケシへ1か月のヨガ修行。今年だったら行ける状況でなく、本当に恵まれていたのだなあと思います。

久しぶりにして長文!お時間のある方には、是非目を通して頂ければ嬉しいです☆

※本日までに国立感染症研究所は「濃厚接触者」の定義を変更しています。接触時期は「発症日以降」から「発症2日前」、患者との距離は2M(目安)から1M(目安:手で触れることができる距離)、接触時間は「(マスクなどの)必要な感染予防策なしで15分以上の接触があったもの」とされています。合わせてご参考にされて下さい!

さて本題。2020年4月20日現在、新型コロナウイルスの感染拡大は未だ収まらず、4月7日に7都道府県に発令された緊急事態宣言は、4月16日には全国に拡大され静岡県も対象となりました。県民に対しても不要不急の外出の自粛が要請されています。ただし、生活必需品の買い物や医療機関の受診とともに、散歩やジョギング・ウォーキングなどの適度な運動は自粛の対応となっていません。

★では登山はどうでしょうか?

昨日4月20日付けで公益社団法人・日本山岳ガイド協会を含む山岳四団体(※1)が「この緊急事態に対処するには、山岳スポーツを愛する皆様の他者への思いやり、そして何よりご自身の感染防御に専心され、事態の収束をみるまで山岳スポーツを厳に自粛して頂くよう」との声明を出しています。

私のような専業の登山ガイドの認定組織である日本山岳ガイド協会でも「ガイドツアーについては出来るだけ、中止ではなく延期とし、その間顧客の方々に自宅で行えるトレーニング方法の伝授」をする等、お客様との山行自体の自粛を推奨しております。

登山ガイド事務所クマあしではイベント・SBS学苑様の山登り講座・ヨガ講座ともに中止や延期、マンツーマンを含む顧客との個人ツアーについても4月7日の宣言後は控えております。私自身も休業とはせず、顧客の皆様との植物等の写真のやり取りや事態が収束した際の山行のご相談等など、メールやSNSなどでの小まめな連絡をとらせて頂いております。

この中で、里山に行くのもダメですか?親しい友人と行くのもダメですか?というご質問を頂きます。

お客様の中には、お独りでも行ける近くの山を歩いてくる、自家用車で行って来られるコースを選ぶ等、工夫されている方もいらっしゃいます。静岡県中部でいうと、満観峰(静岡市・焼津市)・賎機山(葵区)・谷津山(葵区)・千葉山(島田)・清水山(藤枝)・浜石岳(清水区由比)等ですが、こうした山に多くの人が訪れており、感染対策をされていない方も多く不安を感じるとのこと。

★私は「8割おじさん」こと厚労省のクラスター対策班の西浦博さん(北海道大学大学院社会医学分野教授)が仰っていた、

「接触が起こらなければ、屋外で一人で動くのは構わない」「友達同士でジョギングするのはいいけれど、帰りに一緒に飲みにいってはいけませんよ」「いっぱい歩き回って、でも立ち止まって30分以上人と話さないで欲しい」というご意見に賛成でこれが山歩きにもあてはまると思っております。

※4月11日 BuzzFeed の記事より

 

★また国際山岳医けんじり先生こと小阪健一郎さんの記事で

「感染対策と安全登山が出来ざる者、山を登るべからず」、密閉・密集・密接の三密の中でも特に自分達のパーティー内での「密接の回避が登山でも重要」と書かれていた点にも賛成です。※「YAMAP MAGAZINE」

この中には、山では飛沫感染について、「飛沫はマスクを通過できない、密ではない空間では2m以上離れれば届かない、登山道で皆同じ方向を向いて黙って歩いている限り飛沫が人の顔にかかる心配は低い、見ず知らずの他人からの飛沫より自分のパーティー内での感染が怖い」。

また、接触感染については「ウイルスに汚染されていそうな公共のものを触った場合その手で顔を触る前に慌てずにアルコール消毒や石鹸で手洗いをすればリセットできる」、と書かれています。

★地元山岳会で登山者の指導もされているベテランの登山者の方からも、山での遭難の話をすると、自分は大丈夫と思いがちなことに似ており、      「自分に限ってコロナにはうつらない」と思っている人が多いのではないか?

コロナとは長い闘いになることが予想される。その間に全く山に行けないのは辛いので「自分がうつらない、人にうつさない」ということを肝に銘じて山に行きたい、とお話されていました。

三密の中で、主に心配なのは密接ですが密閉は往復時の交通手段で、または密集は人数などでも問題になりうると考えます。               そこで、適度な運動としての山歩きは否定しないが

「静岡の里山でも三密を避けよう!」という意識を一人でも多くの方に持って頂きたいと、以下に ①適度な運動としての山歩き とは??

②事前・山歩き中・事後に取りうる対策は、の順にまとめてみました。最終的にはご自身の判断となりますが、その際の参考にして頂ければ幸いです。

※参考にしたサイト等は末尾に記載しました。

①適度な運動としての「山歩き」とは?

・登山で初級と言われる程度の山(せいぜい長くて3~4時間コース)、いつも散歩で利用している山、自宅の裏山のような山歩きを、長めの休憩をとることなく最短時間で歩くのは、「適度な運動」と言えるのではないでしょうか。ただ、低山~中級レベルの山でもトレイル上に危険箇所がありそうな山はリスクが高いという意見もあります。

万が一、怪我をした場合、医療機関に罹る可能性があるためです。軽度の怪我なら外科での対応で済みますが、大怪我の場合は救急医療を要するケースもあり、感染症対応で疲弊している医療機関のさらなる逼迫につながる可能性があるためです。

また、登山経験者は1000M以上の山やGWに向けてアルプス級の山へ自力で登ることも可能ではあります。こうした本格的な登山についても、遭難した場合の自他へのリスクが平常時以上に高いことを自覚する必要があります。

まず、救助がすぐに来ない可能性やGW中は休業する山小屋が多いこと、大怪我の場合は同様に救急医療の逼迫につながる事が考えられます。

海外の事例ですが、イタリアでは要救助者が感染しており救助パイロットが1か月にわたる治療を要した例、カナダでは要救助者が感染しており、救助隊員が業務停止、国立公園が閉鎖となった例も報告されています。※山岳医療救助機構facebookページ参照。

ご自身が登れる山ということで人の少ない山へ出かけることも否定できませんが、「自分は遭難しない」という過信は禁物であり、加えて自分が無症状の陽性感染者であった場合に他者へ与える影響の大きさを考え慎重な判断が求められますね。

お仕事が無しになったので、GWはテント泊で南アルプスへ入ろうかな~などというクマあしの浅はかな夢ははるか彼方へ飛んで行きました😢

②事前・山歩き中・事後に取りうる対策

ネットでの山岳関係者・医療関係者の投稿、地元山岳会の方や信頼できる山仲間からのアドバイスで有効と思った点を箇条書きに記載します。

★事前の対策(計画段階、行く直前など)

・お昼を山頂で食べるパターンは混雑が予想されるため、午後から登るなど時差で登る、早朝に往復してくるなど時間帯をずらす。

・コースをマイナーなコースにする。例えば満観峰なら一番混むのは駐車場やトイレが完備された焼津市の花沢の里からのコース、または賎機山は浅間神社から浅間山付近までが人が多い、こうしたコースを外す(別のルートを調べるのも勉強になる)。

・交通手段は電車・バスなどの公共交通機関は利用せず、自家用車で往復する。

・同行者は基本的に単独・家族、それ以外の人と行く場合もできるだけ少人数で行動をよく知っている人(完全にリスクがないとは言い切れない)。家族以外と行く場合、車の乗合いは感染リスクも否定できないため、現地集合・解散が安全。

・不特定多数の人が利用する道の駅やコンビニも出来るだけ立ち寄らない。

・発熱や咳などの症状があれば行かない。

・登山前の2週間に感染拡大地域に訪問している場合は控えた方が良い。

 

★山歩き中の対策(ランニングも含む)

・マスク・ネックカバー(Buffとも呼ばれる)で咳エチケットに気を付ける。

※単独の方は歩行中ずっとではないにしても特にすれ違い時には注意する。

Buff(バフ)はマスクに比べ息苦しさも和らぐため、トレイルランニングの方にもお願いしたい方法。京都大学の山中伸弥教授もお薦めされています。

以下※2で動画のURLを記載。

・登山のマナーとされる「こんにちは!」。今の状況では声を発せず、目での挨拶や軽く会釈程度で済ます。

・「適度な運動」としての外出であることから、山頂などに長く滞在する必要があるのかを良く考える→人との接触時間が増える可能性あり、特に昼食時間帯にテーブル・ベンチに座ってゆっくり調理・食事はNGでは?

・やむを得ず?グループで行く場合、歩行中も2M以上は間隔をあける。あまりお喋りもしない方がベター。2M以内に向かい合って話をしない、飲料の回し飲みはしない。

・何か食べる際には、手指をアルコール(せめて除菌シートなど)で消毒する、食物を直に触らない。

・知り合いに会っても30分以上話をしない。

★事後の対策(下山後)

・駅のトイレやドアノブに比べれば触る人も圧倒的に少ないが、ロープや鎖、手すり、ベンチやテーブル、他人のスマホ(写真撮影を頼まれる等)など山の中でも色々なものに触ることもあるため、心配ならその場で除菌シート等で手を拭く。

・下山後は顔を触る前に、徹底的に石鹸で手洗い・またはアルコール消毒をする。

・下山後のご飯・ビールは登山の楽しみの一つだが、グッと我慢して自宅でご飯。

・下山後の楽しみである温泉♨も今は我慢、帰宅したらすぐ入浴・シャワーを使い、衣類も洗濯する。

 

★この他の対策として・・・山なら人が少ない、遊びに行けるという感覚で登山に慣れていない方・装備をもっていない方を経験者が連れていく事もお薦めできません。怪我や遭難のリスクや自分が感染させる、どこかに感染源があるかもしれない状況下で相手のことを大切に考えていますか?

登山を始めたいけど、装備がないという方は、今は無理して山には行かず、書籍やネットで登山に関する知識を深める、行きたい山を選んでコースなどを調べてみる、など自宅でできるお勉強をすることも良いのではないでしょうか。

☺終わりに

繰り返しになりますが、緊急事態宣言下で山歩きをするかどうかはあくまで御自身の判断です。顧客の方へはアドバイスはしますが登山ガイドといえども、行って良い・悪いの判断は決めることは出来ません。またここに記載したことすべてが正解かも断言できません。上記の対策を見てリスクがあるかどうか、自分には出来るかどうかの判断の一助として頂ければと思います。

先日やり取りした山仲間の女性が「山も休みたいんじゃないかな🏔」と書いてくれたコメントを読み、普段山でお仕事をさせて頂いている自分にもかなりの葛藤があります。夏のアルプス登山を楽しみにしているお客様のために少しでも早く終息して欲しい、自分が心から愛する赤石岳(南アルプスの盟主)に早く登りに行きたい!と思う反面、人が入らないことにより山も自然も浄化され、回復するという面もあるからです。

皆さんが楽しみ、癒される静岡の山で感染を出したくない・南アルプスが本当に大好きな自分に少しでも出来ることを思いつつ、登山ガイドの仕事に誇りをもって続けられるよう、今出来ることを模索する毎日です。一人でも多くの方に伝われば幸いです🐻。

◆参照したネットサイト等

・クラスター対策班・西浦博教授のインタビュー記事(4月11日) https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-nishiura?ref=hpsplash

・CAJ(コンサベーション・アライアンス・ジャパン)滝沢守生さん(4月13日)

「新型コロナウイルス感染症拡大の今、野外に出るときに守らなければならない5つのガイドライン」

https://outdoorconservation.jp/?p=1533

・国際山岳医・辺境クライマーけんじり先生(小阪健一郎さん)の記事

「YAMAP MAGAZINE  」https://mag.yamap.com/12641

・日本登山医学会HP  http://www.jsmmed.org/indexSub1.html

※2につき

京都大学・山中伸弥教授のジョギングの際のお薦めアイテム(Buff バフの紹介)You Tube動画

https://m.youtube.com/watch?v=sO1BmlMij8c&feature=youtu.be

※1山岳四団体

公益社団法人・日本山岳・スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟

公益社団法人・日本山岳会 、公益社団法人・日本山岳ガイド協会(JMGA)の4団体

 ヤマケイオンラインより(声明文)

https://www.yamakei-online.com/journal/detail.php?id=5764

 上記のサイトを参考にさせて頂きました。

★コロナウイルスの感染拡大が終息に向かい、皆様が安心して山登りが出来る日が1日でも早く来ますように・・・🏔

本日の上級ロングコース🍃下山までお付き合い頂きましてありがとうございました!感謝感激クマあられ<(_ _)>🐻

静岡の里山代表格・千葉山(島田)丁仏参道の石仏さま・智満寺奥の院・十本杉(雷杉) 由比の浜石岳より清水港方面。龍か鳳凰のような雲!

🗻静岡の里山でも三密を避けよう!”へ2件のコメント

  1. 白岩寺のおサル より:

    山を愛するものとして、山に行ってコロナを人にうつしたり、またうつされたりする事はダメですよね。
    山に行かない自粛というのが一番なのかも~?と思いつつ県内の山には行っています。
    また、今回はコロナの終息までは長い道のりとなると思います。

    そんな中、クマ足さんの「静岡の里山でも三密は避けよう」いう事に共感しました。

  2. karahashi より:

    白岩寺のおサルさま、コメントありがとうございました!静岡はお散歩レベルで行ける山が多くて恵まれていますよね。やはりどうしても山に行きたくて気を遣ってお出掛けの方が行きづらくなってしまうのは残念です😢。普段は山に行かない方には山関係の情報があまり届かないのかな、少しでも知って頂けたらと思います🐒✨

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